阪神・淡路大震災/地震の概要
地震の概要

 阪神大震災による死者は 5,500人(関連死を含めると6,000人)を超え、自然災害による被害としては戦後最大の規模になった。そのうち 89%は圧死であると伝えられている。その主たる原因は老朽木造家屋の倒壊にあり、そのことが高齢者と貧困者へ被害が集中する要因になったのである。倒壊による圧死という局面のみに注目すれば、居住地(古くからの中心市街地)と住宅種類・老朽度の片寄り、続いてメインテナンスの有無に現れた住宅所有形態(所有の有無)の差が、災害時における生死を分けたともいえよう。これが同時に高齢者への人的被害の片寄りを生み出していったのである。
ここでは直接的な被害状況と、緊急対応から復旧・復興過程において見出された社会的問題の地域による違い、そしてその背後にある災害弱者の問題を確認できるようにグラフや地図を用いて阪神・淡路大震災の全体状況を示すことを試みた。また、各被災地区の実際の状況や住民やボランティアの方々のさまざまな取り組みを紹介する写真をたくさん用意している。


 阪神大震災は災害直後からさまざまな社会的問題を発生させてきたが、社会的問題の質の変化は急速で次々と波及や連鎖を生み出していった。同時に災害の激震地からの距離と時間的経過の違いに応じて異なる社会的問題の様相があらわれている。災害過程で発生するさまざまな社会的問題は行政の施策や住民の対応によって確かに一方で解消されていったが、他方では、問題を解消するために行われた行政施策等の社会的対応が、また質の異なる新たな社会的問題を招き出す。
この社会的問題の展開過程は、被災から復旧・復興にいたる一般的な災害現象の展開として描かれるだけではなく、地域特性、他のさまざまな社会的要因、レベルの異なる政策変数群によっても左右される。時代や社会システムのもつ陰の部分や脆弱な体質を投影して、その時代や社会に応じた独特な連鎖の特徴をもつことがある。これは、被災実態そのものが陰の部分や脆弱な部分を直撃するというだけではなく、大規模な災害であればあるほど、厳しい制約下での社会的対応となるため、いくつかの選択肢のなかでの優先順位が厳しく問われ、そこにその時代や社会の価値観や対処基準が自ずと潜入することから生じるのである。





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