昭和初期の四国遍路道中図
 この地図の正確な作成年代は不明であるが、ほぼ同じ図柄の昭和5年の地図が発売されているので、昭和初期のものと考えられる。30番札所が「善楽寺」となっており、昭和4年(善楽寺再興)以降の30番札所2カ寺体制(平成 年までの安楽寺・善楽寺)のものであることがわかる。地図には、札所・番外・順拝指道・名所古跡・鉄道・電鉄・道路・都市・各邑などが記載され、札所間の距離や峠・難所などの案内もあり、四国4県が色分けされていて実用的である。
 さらに本道中図では、四国上陸の6ルートと札所近道船便2ルートが掲載されているのが興味深い。すなわち、上陸ルートは、@徳島上陸、A丸亀・多度津上陸、B今治上陸、C三津浜上陸、D八幡浜上陸、E高松上陸、の6ルート。札所近道船便ルートは、@佐賀(37番)より窪津(38番)へ、A福島(36番)より須崎(37番)への船便2ルートである。多彩なアクセスルートと船便ルートが採用されていたことがわかる。また、各地域の郵便局所在地、各宿駅などが掲載されているのが、いかにも当時の通信・交通状況を反映していて面白い。
 地図裏面は、各札所の御詠歌、通便為替音信指南、旅の心得などで埋められているが、はしがきに「旅して其道案内に暗き程心づかいなるはなし・・」とある。徳島県は撫養港の四国順拝道具一式を扱う江口商店発行によるもので、典型的な阿波ルートによる遍路向けのものであろう。